■難点ひとつ
 引っ越したブルックラインのアパートは400世帯が入居できる9階建てのアパートであった。このブルックラインの町は緑が多く、アパートの前は広い公園になっていて子どもたちものびのびと遊ぶことができ環境は大変いいと思われた。
地下鉄の駅も近いし、治安もよく、いうことはなかったがただ1つ閉口するのは近所で大きな犬を飼っている人が多く、あちこちに犬のでかい糞がころがっていることであった。
アメリカ人よ、犬の糞ぐらいちゃんとかたづけろよと今でも言いたい。
歩く時に気をつけないと思わずふんづけてしまいそうである。(あやうく、難をのがれた)アメリカ人はどこにでも靴を履いたまま足を上げる週間がある(よく、靴紐を縛り直している)ので、ひょっとしてと思って心配になる。家の中のじゅうたんやソファーは大丈夫だろうか。あー心配だ。

■まずは買い物
 アパートの入居者のうち100世帯は日本人ということであったがそんなにたくさんの日本人と顔を合わせたという印象はなかった。ほかにロシア人、インド人、中国人、リタイヤしたアメリカ人などさまざまな人種が住んでいた。若い人たちは友達とシェアーしていた。
9階のドクトルカメさんの部屋は8帖ほどの2つのベットルームにダイニング兼居間それに2帖ほどのキッチン、トイレがそれぞれのベットルームに、そしてバスタブのある風呂がついていた。トイレが2ヵ所についていた。トイレが2ヵ所についていたのは大変便利であった。
 子どもたちに一部屋、そして私たちにひと部屋割り当て、運んできたベットを並べた。しみのついたマットでも金属のベットに乗せると何とか格好がついた。
 ウールワースという安売りのスーパーへ行ってシーツと布団を買ってきた。ふとんはFUTONだったのには驚いた。どうせ、帰るときには捨てていくと思い、5ドルから10ドルまでの安いものを買った。子どもたちには花柄と赤いチェックの可愛いものを買った。ほかに、カーテン、椅子の座布団、タオルも買い込んだ。まだあった。ハンガー、皿、鍋、ケトルなど最低限のものは買った。いずれも数ドルのしろものであった。
 幸いなことに冷蔵庫と食器洗い機それにエアコンは完備されていたのでありがたかった。冷蔵庫は700リットルは入ろうかという大きなもので、多少ものを入れても中はスカスカだった。

■はし燃える事件
 食器洗い機は石鹸のような洗剤を入れておいてスイッチを入れれば、洗いから乾燥までできてしまう便利なもので、何といってもあとかたずけには重宝した。台所の流しにはディスポーザーもついているので、残ったものは全部、それに入れて水で流してしまえばいい。そして、食器類は汚れたままで食器洗い機にぶちこんでスイッチをいれて出かけ、夕食のときは食器洗い機から取り出せばいいのである。アメリカ人の家庭のように皿とカップだけなら本当に便利である。
しかし、日本人が使うとなると少々問題も出てくる。味噌汁のお椀は木やプラスチックでできているので向かないし、ごはんのこびりついた茶碗はそのままごはんつぶが残っていてやや問題がある。それに小皿なども混じっていて食器の数が多くて入りきらないときがあある。食器洗いのなかのざる状になったかごは目が粗いので小皿やはしを置いても下へ落ちたり、飛んでいってしまう。

あるとき、食器洗い機から煙が出ていて、煙探知機が鳴りそうになってびっくりしたことがあった。あわてて中をみると、乾燥させるヒーターがむきだしになっていてそこにはしがひっかかり半分ほど焦げて煙が出ているのであった。はしをちゃんと乗せていても水流で下まで落ちていってしまったらしい。
ここのアパートはよく火災報知機が鳴るのである。そのつど消防車がサイレンを鳴らして駆けつけていた。ベランダから何事かとのぞくと、おおげさな格好をした消防士がゆっくりと歩いて中まで入ってくるのであった。たいてい、10分ほどして何事もなかったかのごとく帰っていく。このはし燃える事件以来私は煙探知機をとりはずしておいたのであった。