■1日たのしめるクインシーマーケット
 ボストンの海沿いのウオーターフロントを再開発したクインシーマーケットは観光客ばかりでなく地元の人達にも大変人気のあるスポットである。

昔からある倉庫群を煉瓦の外壁のみを残してリフォームしてあり、平日でも多くの人達でにぎわっている。通りのところどころでトランペット、サキソフォン、バイオリン、クラリネット、ギターといろいろな楽器を持ったミュージシャンが名曲や自分で作った曲(自分の写真をのせたカセットテープを並べているのでどうもそうらしい)を奏でている。もちろん、その前には楽器ケースや帽子が置いてあっていくばくかの小銭や1ドル紙幣が入っている。

あまり上手でないミュージシャンもいる。そんな人の帽子の中の1ドル札は客の目を引くために最初から自分で入れておいたのではないかと疑ってかかりたくなる。

 大道芸人だって観光客や買い物客を集めている。口から火を噴き出して見せたり、一輪車の曲乗りを披露しているピエロ、トランプのマジックなどにぎやかだ。
天気がよく暖かい日はクインシーマーケットで1日エンジョイできる。

倉庫群の間は石畳でできた広場になっていて、ブロンズの彫刻付のベンチが並び、絵葉書やボールペン、キーホルダー、マグネットなどの小物をつり下げている露店や1着5ドルから15ドル程度の観光Tシャツを並べている露店が顔を出している。

 建物の中ではハーバードのロゴマークをつけたジャケットやパンツ、帽子、文具などを売っている店、大リーグ、NBA、NFLなどのプロスポーツのユニフォーム専門店、靴下ショップ、セーター専門店(どういうわけかこれらはウールではなくコットン)、じゅうたん屋、陶器食器専門店、ビデオ屋さん、自然環境を大事にする品がうりの店、ポスター屋さん、ブランドものの服を売っている店などじつにバラエテイーに富んでいて1日いてもあきない。

■頭の痛いトイレ問題
 レストランもいっぱいだ。ピザはいうに及ばず、ホットドッグ、チキン空揚げ、ハンバーガーなどのファーストフード、ボストン名物ロブスターの釜あげ(伊勢海老より大きなものが千円ぐらいで食べられる)、チョコレートショップ、いす席でのブランチ(朝寝坊のためのブレックファーストとランチを兼ねた食事)がうりのちょっとしゃれたレストラン、メキシカン料理の店それに日本食レストランもあってファーストフードに飽きた日本人にはうれしい。ただし、値段はすこし高めだが…

 問題もある。他のアメリカの町のようにトイレが少ないことである。
 大きなエリアに1、2箇所しかなく、とくに女性用は混んでいて、余裕をもっていかないと大変なことになる。また、いつもトイレの場所をマークしておかなければならない子供連れにとっては頭が痛い。
アメリカ人は1日に朝と晩と2回しかトイレに行かないんだろうかと思えてくる。

■アメリカで愛された“暑がりの犬”
 ところでアメリカ人はイタリアの食べ物とくにピザが大好物なことは前にもふれたが、もうひとつの好物はホットドッグである。

クインシーマーケットでも薄茶色の粗雑な紙に無造作に包まれたホットドッグを頬ばっている人達をたくさんみかける。でかい体をしてあんなものひとつでほんとにお腹がふくれるんだろうかといささか心配になると同時に、なぜあれは、暑がりの犬?というんだろうかと思って調べたことがある。

 もともとあれはドイツの食べ物で、フランクフルトではフランクフルターと呼ばれていたという。これがアメリカに渡り最初に売られたのが1860年のことで、アメリカ人はフランクフルターのことを足が短く胴体が長いドイツの犬ダックスフントに似ていることから“ダックスフントソーセージ”と呼んでいたという。

ある日、新聞の漫画家タッドは野球場へ行ったところ、もの売りがお湯のタンクで暖めたダックスフントソーセージを売り歩いており、沢山の人々がそれを食べているのを見て、新聞で、細長いパンの間でダックスフントが横になって汗をかいている漫画をのせた。ところが、彼はダックスフントのスペルを知らなかったので下の説明にホットドッグと書いた。
これが評判となりいつしかフランクフルターのことをホットドッグと呼ぶようになったという。

 ホットドッグはもちろん大リーグの球場だけでなくNBAのスタジアムでもあちこちに見かけることができる。ただし、あまりおいしいとはいいがたいが。

クインシーマーケットのホットドッグ屋さんでは中にいれるソーセージをショーウインドーから選ぶことができ、自分流のホットドッグを作ることができ味もまあまあであった。

 しかし、何といってもいままでで一番おいしかったホットドッグはアメリカではなくザルツブルグのモーツアルトの生家の近くにある一坪ほどの小さな店で売られていたホットドッグであった。
行く機会のある方はお試しあれ。