このエッセイは院長がアメリカ時代の思い出をかってに書きためておいたものです。
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『アメリカ人の挨拶2』8/1更新 ■ドクトルカメさんピンチ 帰国日程もほぼ決まった93年の11月、最後の実験に取り組んでいたドクトルカメさんは、ある日、ルビーレーザーの出力が上がらないのに気づき、エンジニアのビルにちょっとレーザーの調子を診てくれないかと頼んだ。 以前はビルと一緒に実験をしていたが、だいぶレーザー装置の扱いにも慣れてきたドクトルカメさんは最近は好きなように実験をやらせてもらっていた。多少の故障や光軸のずれは別に英語を使わなくても調整できるようになっていた。 しかし、今回は今までの知識と経験を振り絞ってもうまく行かなかったのである。 ビルの診断は、レーザービームの反射の方向が悪くて、私がルビー棒を破損させてしまったというものであった。さあ、大変なことになってしまった。ドクトルカメさんは顔から血の気がスーッと引いていくのが分かった。実験ができなくなってしまったのである。 使われていないルビーレーザーからの代用がきかないか、ビルは一生懸命探してくれたが、いずれも長さが足りず、仕方ないので急いでルビー棒を取り寄せることになった。何せルビーの棒である。ビルに言わせれば3000ドルはかかるだろうという。ドクトクカメさんの頭の中を銀行のドル口座と3000ドルが払えるかの計算が駆け巡っていた。しかし、ビルはすぐに筆頭秘書のスーザンに電話して研究費が残っているか確認をしてくれた。そこはさすが、落ちぶれたとはいえ豊かなアメリカである。3000ドルなどたいしたことはないというような返事であった。 さっそく、レーザーの会社へ注文することになったが、ドクトルカメさんは、電話で丁々発止とやる自身がない。そこで今度もビルが2,3の会社へ電話をしてくれた。しかし、いずれも、発送までに2週間以上かかるという冷酷な返事しか返ってこなかった。しかし、最後に電話をかけた会社は1週間で届けられるでしょうという返事であった。それは、残り3週間の米国滞在日程を考えると、1週間で手に入るなら実験は何とか終わるだろうという甘い期待を抱かせるものであった。今日は火曜日だから来週のはじめには手に入るだろう。すると1日を調整に費やしても、木曜日には実験ができるだろうとドクトルカメさんは考えた。 しかし、水曜になっても、木曜になってもルビー棒は来ないのである。しかたがないのでビルに督促の電話をかけてもらった。もちろん電話でもまずハワユーから始まるのである。「ハワユー,……グッド……,ところで例のものはどうなったんだい。」とこんな調子である。ドクトルカメさんならいいかげん腹が立っているから、「どうなっているんだ」とつい詰問調になってしまうが、そこはやはりジェントルマンのアメリカ人、大好きなハワユーから始まるのであった。電話の結果は発送係りに問い合わせてから、また折り返し電話するという頼りないものであった。しかし、待てど暮らせど電話がかかってこない。ドクトルカメさんはいいかげん堪忍袋の尾が切れかかっている。 翌日もう一度電話してもらうと、今度は会議中とのことで、電話がかかってきたのを伝えておくという返事であった。ドクトルカメさんの怒りは爆発しそうになる。 1時間後、またビルに頼んで電話をかけてもらう。「ハワユー」(何がハワユーだ!冗談じゃない、あいさつなんかしている場合か。ビル、どうして怒らないんだ!)「例の品物はどうなっているんだい?えっ、ルビー棒は在庫がなく、用意するまでにあと2週間かかるって?」情けない。アメリカ人て信用のおけないやつばかりだ。ドクトルカメさんは、ただただ落胆の思いを胸に秘めるよりしかたがないのであった。 その晩、アパートに帰って、ことの顛末を憤慨しながら友人のS氏に話すと、「アメリカでは、電話でも、急いでいる時でも、怒っているときでも、まずハワユーから始めないといけないんですよ」というありがたい返事であった。 |
| 『ブルックラインのアパート』7/1更新 ■難点ひとつ 引っ越したブルックラインのアパートは400世帯が入居できる9階建てのアパートであった。このブルックラインの町は緑が多く、アパートの前は広い公園になっていて子どもたちものびのびと遊ぶことができ環境は大変いいと思われた。 地下鉄の駅も近いし、治安もよく、いうことはなかったがただ1つ閉口するのは近所で大きな犬を飼っている人が多く、あちこちに犬のでかい糞がころがっていることであった。 アメリカ人よ、犬の糞ぐらいちゃんとかたづけろよと今でも言いたい。 歩く時に気をつけないと思わずふんづけてしまいそうである。(あやうく、難をのがれた)アメリカ人はどこにでも靴を履いたまま足を上げる週間がある(よく、靴紐を縛り直している)ので、ひょっとしてと思って心配になる。家の中のじゅうたんやソファーは大丈夫だろうか。あー心配だ。 ■まずは買い物 アパートの入居者のうち100世帯は日本人ということであったがそんなにたくさんの日本人と顔を合わせたという印象はなかった。ほかにロシア人、インド人、中国人、リタイヤしたアメリカ人などさまざまな人種が住んでいた。若い人たちは友達とシェアーしていた。 9階のドクトルカメさんの部屋は8帖ほどの2つのベットルームにダイニング兼居間それに2帖ほどのキッチン、トイレがそれぞれのベットルームに、そしてバスタブのある風呂がついていた。トイレが2ヵ所についていた。トイレが2ヵ所についていたのは大変便利であった。 子どもたちに一部屋、そして私たちにひと部屋割り当て、運んできたベットを並べた。しみのついたマットでも金属のベットに乗せると何とか格好がついた。 ウールワースという安売りのスーパーへ行ってシーツと布団を買ってきた。ふとんはFUTONだったのには驚いた。どうせ、帰るときには捨てていくと思い、5ドルから10ドルまでの安いものを買った。子どもたちには花柄と赤いチェックの可愛いものを買った。ほかに、カーテン、椅子の座布団、タオルも買い込んだ。まだあった。ハンガー、皿、鍋、ケトルなど最低限のものは買った。いずれも数ドルのしろものであった。 幸いなことに冷蔵庫と食器洗い機それにエアコンは完備されていたのでありがたかった。冷蔵庫は700リットルは入ろうかという大きなもので、多少ものを入れても中はスカスカだった。 ■はし燃える事件 食器洗い機は石鹸のような洗剤を入れておいてスイッチを入れれば、洗いから乾燥までできてしまう便利なもので、何といってもあとかたずけには重宝した。台所の流しにはディスポーザーもついているので、残ったものは全部、それに入れて水で流してしまえばいい。そして、食器類は汚れたままで食器洗い機にぶちこんでスイッチをいれて出かけ、夕食のときは食器洗い機から取り出せばいいのである。アメリカ人の家庭のように皿とカップだけなら本当に便利である。 しかし、日本人が使うとなると少々問題も出てくる。味噌汁のお椀は木やプラスチックでできているので向かないし、ごはんのこびりついた茶碗はそのままごはんつぶが残っていてやや問題がある。それに小皿なども混じっていて食器の数が多くて入りきらないときがあある。食器洗いのなかのざる状になったかごは目が粗いので小皿やはしを置いても下へ落ちたり、飛んでいってしまう。 あるとき、食器洗い機から煙が出ていて、煙探知機が鳴りそうになってびっくりしたことがあった。あわてて中をみると、乾燥させるヒーターがむきだしになっていてそこにはしがひっかかり半分ほど焦げて煙が出ているのであった。はしをちゃんと乗せていても水流で下まで落ちていってしまったらしい。 ここのアパートはよく火災報知機が鳴るのである。そのつど消防車がサイレンを鳴らして駆けつけていた。ベランダから何事かとのぞくと、おおげさな格好をした消防士がゆっくりと歩いて中まで入ってくるのであった。たいてい、10分ほどして何事もなかったかのごとく帰っていく。このはし燃える事件以来私は煙探知機をとりはずしておいたのであった。 |
| 『アメリカにあって日本にないもの、日本にあってアメリカにないもの』5/30更新 ■口座管理料 銀行に口座を開くと日本と同じようにバンカーは嬉しそうな顔をする。しかし、severeなことに預けるお金が少ないと月5ドルほど口座管理料を取られるのである。口座をつくったままにしておくと利子がつくどころか銀行に吸い取られてだんだん目減りしていく。だから、アメリカ人は貯金をしないのか。 ■延滞遅延金 アメリカのデパートで目的の品物がなかったのであとから船便で送ってもらうように手配して帰ってきた。数ヶ月して確かに品物は送られてきた。請求書の値段に納得がいかないものがあって放っておいたらまた数ヶ月して延滞遅延金を上乗せした請求書が送られてきた。国際電話もかかってきた。腹がたつけど遅延金だけを差し引いて送金したら翌月さらに残金に遅延金を上乗せした請求書が送られてきた。 アメリカの請求書は税金なみである。 ■バンカーの微笑 銀行の窓口でお金をおろすと美人の窓口嬢は『ありがとうございました。また、おねがいします』と言ってくれる。しかしお客は『……』とだまって去る。だが、アメリカではお客が笑顔で『サンキュウ』、窓口は『くるしゅうない』と言ってくれる。 ■小銭の交換 日本で1円玉、10円玉をためた貯金箱を銀行へ持っていくと心ならずも愛想よく機械にかけて計算してくれるが、アメリカでは1セント、10セント、25セントそれぞれ専用のロール紙につめてお客が自分で窓口に出さねば受け取ってくれない。ええい、この野郎。 でも自己申告で1,2枚足りなくても確認したりしないので時々ちょろまかすと特をしたような気分になる。 ■24時間稼動キャッシュディスペンサー あの危険なアメリカでも町のなか、スーパーなどいたるところで現金自動支払機があり、あつ24時間利用できる。出口をピストルをもって待ち構えていれば簡単にお金を奪えそうな気がするが、そういうニュースにはまったくお目にかからなかった。使い方を心得ればたいへん便利である。それにくらべて日本では昼間しか使えないのはなぜか。泥棒に合わないようにするための大蔵省の老婆心か。 もちろん、画面は英語であり、また、会社によって画面が違うので初めてのところへいって後ろにたくさん人がついていてどれを選択したらいいかわからないときは冷や汗ものである。 Transaction だの Account だの Checking だの普通日本で耳にしない単語が出てくるので渡米後間がなくCDに慣れていないときは、泣く泣くお金を手にしないままそこを去ることになる。 ■個人用小切手 日本にもあるが一般的ではない。サラリーマンが振り出した小切手などだれも受け取ってくれないだろう。しかし、アメリカではスーパーの支払いにも使う人がいるのである。 最初はばかにしていた。あんな面倒くさいものと。しかし、実際使ってみると、銀行へいく必要もなく、普通の封筒で送ることができ、手数料もいらず、銀行為替や現金封筒よりはるかに便利であった。日本で使いにくいのは郵政省や銀行の陰謀か。 ■営業時間 多くの店に定休日がない!!レストランは毎日やっているし、ガソリンスタンドやスーパーは24時間開いている。デパートも日曜日は午後からだが開いている。銀行も驚いたことに土曜日でも5時まで開いていた。日本の銀行よ見習給へ。 ■ポケットティッシュ アメリカではポケットティッシュがない。店に売っていないのである。あるとき研究室の秘書さんにあげたらたいそう喜んでくれた。どうしてあんな便利なものがないのだろうか。そのわけはアメリカではほとんどのトイレ(Bath-room というので最初はとまどった)にざらざらしたねずみいろのペーパーがおいてあり、これで手を拭いたり鼻をかんだりするのでいらないのだろうかと思っている。もちろんハンカチももっていない。では近くにトイレがなくて手が濡れたらどうするか。そのときはジーパンのお尻で手を拭えばいいだけのことである。 |