アメリカにあって日本にないもの その2~チップ

 

■チップはいくら?~ホテル
 日本人がアメリカに行くとき、飛行機に乗る前から心配になることのひとつ。ホテルで荷物を運んでもらう、タクシーに乗る、レストランで食事をするたびに、えーとチップはいくら払えばいいんだろうかと悩まさなければならない。ガイドブックを読むと、大体荷物ひとつ当たり1ドル程度をホテルのボーイさんに渡すと書いてあるが、家族連れで荷物が5つも6つもあると本当に5ドルも6ドルも払わなければならないんだろうかと疑心暗鬼になる。だいたいが人のいい日本人は、チップが少ないとケチだと思われるんじゃないかとつい心配になって多めに払うはめになる。また、彼らは安い給料でこき使われているんじゃないかとつい同情のひとつもしてチップをはずむはめになる。しかし、よく考えてみると、ホテルのボーイやドアマンはなかなかいい商売かもしれない。客ひとりひとりはチップが数100円でも1日にすれば、えーと……と考えてみると悪くはなさそうだ。

■チップはいくら?~タクシー
 タクシーではメーター料金の15~20%と書いてある。20%となるとけっこうな額で、つい出し惜しみしたくなるのはドクトルカメさんの育ちのいじきたなさによるか。メーターの表示が9ドルだとチップが10%なら10ドル出してお釣はいらないよと言って降りるのに、15%だとして計算するとそういうわけにもから”Make
it 11”とか言って20ドル札をだしてお釣りをもらう。でも、メーターどうりのお金をはらって降りても文句も言わないで去っていく運ちゃんもいたのでどうしたものかといつも悩んでいたのである。

■チップはいくら?~税金の3倍…
テーブルにすわってウェイトレスにサービスしてもらうようなレストランで食事をするときはチップを払う必要があるとされている。「なぜならウェイトレスたちはチップで生活しているから。」と聞かされると素直にそう思ってしまう。請求書にはチップという項目はないが、gratuityという欄があるのでクレジットカードのときはここに書き込んだり、おつりからチップ分をテーブルの上に残して出ていく。ボストンでは税金が5%なので、先住の日本人から、請求書の税金の額を3倍したお金をチップとして置いておけばよいと教えてもらった。しかし、やたらに愛想がいいウェイターがいるとする。そして、うちの店はこの料理がお薦めだとか今日の味はどうだったとか英語で話し掛けられても困ってしまう。そんなときは20%置いていかなければならないような気分にさせられて、食欲もどこかに飛んで行ってしまう。

 では問題その1。
雇いの従業員ならチップを渡すのはやむをえないとしても、家族でレストランを経営しているような小さな店で、その家族がボーイやウェイトレスのときはチップを払う必要があるや否や?

 質問その2。
カウンターからハイとすぐに出してくれるような日本人のやっているラーメン屋ではチップを払うべきや否や?

 質問その3。
すし屋のカウンターに座って食べる場合、ウェイトレスは水かお茶しか運ばないのにチップを払うのはもったいないような気がするがどうか?

 まだあった。うちのかみさんは美容院でチップを請求された。日本人経営の美容院だったのでここは日本と同じと思いきやセットが終わるころ、「あのー、チップは20%ほどなんですが…。」と暗に要求された。多分、今までの多くの日本人はだまっているとチップを払って行かなかったので、ごうをにやして店側は先手を打つようにしたのだろう。
 こんなことは面倒くさい、どうにかしてくれ!!と最初のうちはさけびたい。しかし、チップ社会に慣れてしまうと、気に入らないサービスにはチップを少なくする。そしてよかったときにはチップをはずんで満足感も得られるので、物事は考えようかもしれない。