ピアス

ピアスとは本来、耳垂に小孔を開けて装着するイアリングのことをいい、ピアスのために小孔を開けることをピアッシングといいます。
 欧米ではピアッシングは宝飾店や美容院で行われていますが、わが国では「客の耳に穴を開けてイアリング装着をさせる行為=ピアスホールの穴あけ行為」は医療行為とされ、行った方は医師法違反で処罰されることがあります。
 最近、東京のピアスショプのオーナーが医師法違反で逮捕されましたが、そこでは大変多くの方がピアスホールの穴開けを受けられていました。
 気楽に穴開け受けられることが人気の理由でした。
しかし、ピアス穴開け後のトラブルのほとんどが、医療機関以外で行われた場合がほとんどです。

 トラブルの少ない医療機関でのピアスホールの穴開けについてお話しします。

この方法でのピアスホールの穴開け 医師法違反??

ご自分で開けられる場合

一番多いピアッシングです。
これはご自分でされたことですので、医療行為にはならないと思います。ただ、トラブルが一番多いのがこの場合です。

友達に開けてもらった場合

医療行為にあたりますが、金銭的授受があるわけではありませんので、ご本人の了解の上でしたら特に問題ないと思います。

ピアス販売店で開ける場合

ピアスを購入してもらったサービスとして行ったとしても、医師法違反となります。

ピアススタジオ

ピアスホールの穴を開けることで金銭を受け取っていますので、間違いなく医師法違反です。

医療機関でピアスホールの穴開けが受けられにくい理由

基本的に医師はピアスホールの穴開けを嫌っている

美容目的であり、健康保険の対象ではなく、自由診療である

ピアスホールの穴開けには専用のピアスガンと専用のピアスが必要です。
また、健康保険ではなく自由診療ですので、医療機関では手間がかかるため行っていません。

もし、トラブルが生じた場合もその対処法がわからない

ピアスホールトラブルの対処法は簡単ではありませんし、専門的知識が必要です。
それに対応出来る医師がいない場合がほとんどです。

医療機関の敷居が高い

購入したらすぐに開けてもらいたいので、その場で開けてもらえると助かる

などが考えられます。

トラブルの少ない 本当のピアスホールの穴開け

医療機関で行われているピアスホールの穴開けの具体的手順についてお教えします。

はじめに、片側の耳の希望させる位置にマーキングし、これを元に反対側の耳たぶにメジャーで計測しマーキングします。闇雲に行っては左右が非対称になってします。

消毒後、チタン製医療用ピアスを装着したピアスガンをマーキングした部分に先端を当てて引き金を引くと、瞬時にピアッシングが終了します。
直後は少しジーンとした痛みが残りますが、すぐになくなります。
麻酔を必要とする痛みではありませんので心配ありません。

通常、ピアス穴が完成するには1カ月は必要ですので、その間はつけたままにしておきます。この時重要なことは、ピアスがまだ皮膚ができていない部分に接触しているため、反応性の少ない素材のピアスを使用する必要があります。

以前はステンレス製ファーストピアスが用いられていますが、施術後に金属アレルギーが多く発生したために、現在はアレルギーの少ない医療用チタン製ピアスが使用されています。
使用するピアスでもトラブルを少なくすることができます。

私が絶対に薦めている初めてのピアスホールの穴開け後のケア術ピアス部のケア

ピアス装着後

1週間ほど分泌物が出ることがありますので、水道水でぬらした綿棒で拭き取り、入浴時にシャワーで洗い流してください。
1週間程で出なくなります。

クリニックによっては消毒液での消毒を指導する所もありますが、消毒薬で皮膚炎を起こした症例を何例も経験しましたので、現在は必要ないと考えています。
消毒をしないと不安な方もおられますが、消毒を行わなかったからといって化膿した方は一人もおりません。

ピアス交換の時期

ファーストピアスは1ヶ月程外さないでいただきます。
ピアスで開けられた耳たぶの穴は、この間に表と裏から皮膚が伸びてきて、きれいなトンネルを作ります(上皮化といいます)。その後外し、好みのピアスに交換してください。
このとき可能ならピンの太いもので、材質の良いピアスをご使用ください。
小さいピンでは穴が狭くなり入れにくくなりますし、金属アレルギーの発生も起こります。

ピアストラブルの患者さんは消毒を十分に行わなかったから生じたといわれますが、ピアストラブルは消毒では防ぐことはできないと考えています。
あくまでも使用しているピアスによる金属アレルギーが原因です。
しかし、何らかのトラブルが生じたら、すぐにピアスを取り除いてください。
ほとんどのトラブルは、ピアスを取り外すことでよくなっていきます。

ボディピアス・耳の軟骨・その他の部位へのピアス

クリニックではボディのピアスホールの穴開けも行っております。
チタン製のバーベルタイプの物や、場合により耳用のチタンピアスを応用していますが、希望される部位によってはサイズが合わない場合がありますので、その際はご自分で用意されたものをクリニックへお持ち下さい。

ボディのピアスホールが完成するまでに時間がかかります。

特にかぶれや感染などがなくても、へそなどでは3~6ヶ月かかることがあります。
一般に通常の耳ピアスよりも時間が必要です。

ホールが完成するまでの期間はもちろんのこと、完成した以後も頻回に交換するのは望ましくありません。

忘れないでほしい ピアスホールの7つのトラブル!

ピアスはただ簡単に体に穴をあけるだけと思われていますが、たくさんのトラブルが起き、治療のために来院されています。そこで代表的な症状を覚えておいてください。

赤く炎症を起こしている。 
3週間たっても分泌ぶつが止まらない。
ピアスの留め金部分が皮膚の中に埋もれている。
ピアスをつけた部分にしこりができている。
ピアスの穴の周りが大きく盛り上がり、できものになっている。
ピアスの穴がさけてしまった。
耳の軟膏部分にピアスをつけて、痛みが伴っている。

これらを放置しておくと大変なことになります。専門の医療機関を受診されてください。

リスクと副作用

・感染、肉芽が起きることがあります。

料金

※あけられる場所や数で料金が異なりますので、ご希望の方はお問い合わせください。 
※R6年4月より9,800円になります。

まとめ

ピアスホールの穴あけ行為は医療行為です。
ピアスホールの穴開けを希望される方は 医療機関で受けられてください。
また、医療機関以外でピアスホールの穴開け後の多くのトラブルが起きています。
これらを放置しておくと大変なことになります。
何らかのトラブルが生じたら、すぐにピアスを取り除いてください。
その後 医療機関を受診されてください。

ご注意下さい

未成年者の方の耳ピアスホールの穴あけは、保護者の方の同意が必要です。
ご一緒にご来院いただくか、こちらより承諾書を印刷し、署名捺印のうえ、ご持参ください。
また、未成年者の方への、耳の軟骨、ボディへのピアスは行っておりません。